プログラム変更について

今年はオリンピックシーズンです。
ということで、選手のみならず、コーチ、スタッフ、報道陣、すべてがピリピリしています。
中でもフィギュアスケートの注目度は、近年稀に見る光景で、現地トリノとの温度差がいささか心配ではあります(一番人気はもちろんアイスホッケー)
そん中、シーズン途中でプログラムを変更するということは、決して生半可な決意でできるものではありません。
去年のユーロ終了後、ステファン・ランビエールは急遽プログラムを変更し、壮大な「アレキサンダー大王」を演じ初めて世界を制しました。
その他、ソルトレイクふたつの金メダルという複雑なかたちで有名になったサレー・ペルティエ組も、今季でいえばエヴァン・ライサチェクもプログラムを変更して成功をおさめております。
それが、成功か失敗か──ソルトレイクでのプルシェンコのフリーのカルメンも1ヶ月あまりで作られたものでしたね。
あくまでも統計的にですが、「新鮮さ」を求めるためだけの「プログラム変更」は新採点法には不向きです。(特にステップなんか)新たに取り組んだとしたら、要素のレベルが高いかどうか、いくらスペシャリストといえど前例がないので判定に悩みます。
そして、ジャッジの目もあきらかに「あら、変更したのね。そうなのねえ。(いやらしい口調)」とかわっていくので。


そんな中、日本では、荒川と安藤、二人の選手がプログラムを変更します。
二人とも技術的には申し分のないほどの天才、この短期間といえど、ある程度形にすることは簡単でしょう。
荒川はフリーを金メダルをとった思い出の「トゥーランドット」に。
「決して笑わない姫」を熱演し、クールビューティーとうたわれる彼女にピッタリの曲です。
壮大で美しく、幻想即興曲の最終部ようにスピードを問われるわけでもないので、本当に彼女のためにできているような曲。太田さんやツァオ達のそれもよかったけれど、どうして鳥肌をたてなければならない用事があるとしたら、このプログラムを薦めるってくらい、それはそれはすばらしいものです。
個人的には幻想即興曲よりも、パガニーニをどうにかしてほしかったんですが…
ニュースをみますと、ほとんど構成はかえないそうですし(そこでどう点がでるのかが見もの)モロゾフがつきっきりで面倒をみているらしくって、ある程度見通しはついているようです。
そう、最近モロゾフが再び氷の上ですべる映像がでてくるので、なんだかにやけてしまいます(笑)
ナフカと組んでたときはそれはそれはひどい言われようでしたけれど(もうズーと踊れば良いのにとかなんとか…ねっ)、太ってたと思われていた身体もしまってて、魅せる表現力がすばらしいです。そのあたり高橋もいっぱい盗め。


で、安藤。彼女には「マイ・ファニー・バレンタイン」を踊る技量がないと判断されたのでしょうか。
それはちょっと残念だな。あのいきなりレイバック→ビールマンスピンへの一連の動きはとてもいいのに。
去年も土壇場でギター協奏曲から火の鳥へと変更し、ゴタゴタのまま沈んでいった彼女をみているだけに、慎重にことを運んでいただきたいです。
で、その曲が「蝶々婦人」アジア系選手ならずとも一度は通る道の一本ですね。
最近では大田由希奈がこれを好演しておりました。
彼女が早い段階から「変更する」とニュースでていたんので、「チャーミングでセクシー、そして大人っぽい」を狙うならば「シカゴ」や、それこそ「ムーランルージュ」などのミュージカル系でくるのかと思っていたのですが。あくまでも五輪メダルを意識しています。
プログラム以前に、彼女に「4回転」が至上命令のような形になってきているのが少し心配ですが…
ベーシックを演じきってこそ一流選手、みたいな風習が欧州であるので、まあ悪くはないと思います。これで「曲中に拍手がおこる」かどうかは疑問ですが。
いつか成熟しきった安藤が「マイ・ファニー・バレンタイン」を踊ってくれると私は幸せ。


偶然にも二人ともプッチーニの曲。彼の生まれ故郷イタリアで、果たして、彼女たちは100%のできで舞うことができるのでしょうか。


追記:荒川もフリー変更だそうです。微弱に変更してます。すいません。